
牧島一夫 Kazuo Makishima
東京大学大学院理学系研究科 名誉教授
X線観測で 探るマグネター天体の超強磁場
中性子星の双極子磁場は典型的に10^8 Tに達するが、この磁場がどのように形成・維持され、時間変化するか、特にそれが電磁石か永久磁石か、いまだ謎である。その鍵を握るのが、マグネター(magnetar)と呼ばれる一群の中性子星で、その双極子磁場は10^10 Tに達する。我々は数例のマグネターのX線観測で、自由歳差運動の検出に成功し、それが磁気圧による星の変形の結果と考えると、内部に10^12 Tに達するトロイダル磁場が潜むことを発見した。本研究では宇宙X線の公開データ解析を続行し、代表的なマグネターの内部磁場を一網打尽に測定したい。


蔵満康浩 Yasuhiro Kuramitsu
大阪大学大学院工学研究科 教授
非摂動磁場が存在する系におけるWeibel不安定性の非線形発展
Weibel不安定性は、対向流プラズマが存在する宇宙空間の幅広い天体現象で起こると考えられており、大型レーザーを用いた原理検証が行われてきた。近年では、非摂動磁場が存在する系におけるWeibel不安定性が引き起こす自発的な磁気リコネクションの非線形発展が注目を集めている。大型装置では、装置の制約から磁場を印加した実験は難しかったが、高強度レーザーを用いることで、高速で高密度、かつ無衝突の対向流を生成可能であり、さらに実験系をコンパクトにすることができる。実験系をコンパクトにすることで強磁場を印加することが可能である。本公募研究では、高強度レーザーを用いたWeibel不安定性の実験を念頭に、本研究領域で整備する可搬型パルス磁場装置を用い、高強度レーザーと強磁場との共創により、これまで未踏領域であった準相対論的な磁化プラズマを用いた実験室宇宙物理を開拓する。
